2026年7月21日
顎が痛い・口が開かない・顎が鳴る…それって顎関節症かもしれません
症状・原因・診断・治療を歯科医師がわかりやすく解説
「食事をすると顎が痛い」
「口を大きく開けられない」
「顎からカクカクと音が鳴る」
このような症状でお困りではありませんか?
顎関節症は、若い方からご高齢の方まで幅広い年代にみられる疾患です。しかし、「そのうち治るだろう」と放置されることも多く、症状が長引いてしまうケースも少なくありません。
また、顎の痛みは顎関節症だけが原因とは限らず、親知らずの炎症や歯の感染、筋肉の痛み、まれに他の病気が隠れていることもあります。
そのため大切なのは、「顎関節症かどうか」を決めつけるのではなく、原因を正しく診断することです。
根津のみらい歯科では、口腔外科を行う歯科医院として、問診・診察・画像診断(必要に応じてCT)を組み合わせ、一人ひとりの症状の原因を丁寧に診断しています。
この記事では、
顎関節症とはどんな病気なのか
どのような症状が現れるのか
原因は何か
歯科医院ではどのような診断・治療を行うのか
について、できるだけ分かりやすくご説明します。
こんなお悩みありませんか?
次のような症状がある方は、顎関節症の可能性があります。
☑ 朝起きると顎が疲れている
☑ 顎がだるい・重い感じがする
☑ 口を大きく開けると痛い
☑ あくびをすると痛む
☑ 食事中に顎が疲れる
☑ 硬いものを噛みにくい
☑ 顎から「カクッ」「コキッ」と音が鳴る
☑ 最近、口が開きにくくなった
☑ 耳の前が痛い
☑ 原因不明の頭痛や肩こりがある
☑ 歯ぎしりを指摘されたことがある
☑ 食いしばる癖がある
☑ 整体やマッサージに通っても改善しない
☑ 親知らずが原因なのか分からない
一つでも当てはまる方は、顎関節症の可能性があります。
もちろん、これらの症状だけで顎関節症と診断することはできません。
だからこそ、症状の原因を見極める診断が重要になります。
顎関節症とは?
顎関節症とは、
「顎の関節(顎関節)」や「顎を動かす筋肉」に異常が生じることで、痛みや開口障害、関節音などの症状が現れる病気です。
顎は身体の中でも非常によく使う関節です。
食事
会話
あくび
飲み込み
など、一日に数千回も動いています。
そのため、小さな負担が毎日積み重なることで症状が現れることがあります。
以前は「噛み合わせが原因」と考えられることが多くありましたが、現在では、
食いしばり
歯ぎしり
筋肉の緊張
ストレス
生活習慣
関節の変化
など、複数の要因が関係する病気と考えられています。
顎関節症の代表的な症状
顎関節症にはさまざまな症状がありますが、代表的なのは次の3つです。
① 顎が痛い(顎関節痛・筋肉痛)
最も多い症状です。
例えば、
食事をすると痛い
あくびで痛む
朝起きると顎がだるい
顎を押すと痛い
などがあります。
筋肉が原因の場合もあれば、関節そのものに炎症が起きていることもあります。
② 口が開かない(開口障害)
「最近口が開けづらい」
「ハンバーガーが食べられない」
という方も少なくありません。
正常では、おおよそ指3本分程度(約40mm以上)の開口量があります。
それより少ない場合には、詳しい検査が必要になることがあります。
③ 顎から音が鳴る(関節雑音)
顎を動かすと
カクッ
コキッ
ジャリジャリ
といった音が鳴ることがあります。
音だけで痛みがない場合は、すぐに治療が必要ではないこともあります。
しかし、
痛みがある
開口障害がある
このような症状を伴う場合には診断をおすすめします。
顎関節症には4つの病型があります
実は、顎関節症は一つの病気ではありません。
原因によっていくつかのタイプに分類され、それぞれ治療方法も異なります。
① 咀嚼筋痛障害(筋肉が原因) これが実際一番多いです。
これが実際一番多いタイプです。
顎を動かす筋肉に疲労や炎症が起こることで、
朝起きると痛い
食事で疲れる
押すと筋肉が痛い
などの症状が現れます。
食いしばりや歯ぎしりが関係していることが多くみられます。
② 顎関節痛障害(関節が原因)
関節そのものに炎症が起きている状態です。主に歯軋りが原因で関節に過度な負担がかかり関節に炎症が起きます。
口を開ける時や閉じる時に痛みが出やすく、顎の動きにも影響することがあります。
③ 関節円板障害
顎の関節には「関節円板」というクッションがあります。
この円板が正常な位置からずれることで、
カクッという音
開口障害
引っかかる感じ
などの症状が起こります。
症状によってはMRIによる評価が必要になる場合もあります。
④ 変形性顎関節症
加齢や長期間の負担によって、関節の骨に変化が起きた状態です。
関節がすり減ったり、骨の形が変わることで、
痛み
開口障害
ジャリジャリという音
などが現れることがあります。
画像診断によって評価することが重要です。
「顎が痛い=顎関節症」とは限りません
ここが最も大切なポイントです。
顎が痛いからといって、必ずしも顎関節症とは限りません。
例えば、
親知らずの炎症
歯の根の感染
副鼻腔炎
三叉神経痛などの神経の病気
耳鼻科領域の疾患
などでも、顎の痛みを感じることがあります。
そのため、自己判断で「顎関節症だろう」と決めつけるのではなく、原因を総合的に診断することが重要です。
根津のみらい歯科では、顎関節だけでなく、お口全体や周囲の組織も含めて診査を行い、必要に応じてCT撮影や専門医療機関との連携も行っています。
顎関節症の原因|食いしばり・歯ぎしり・TCH(歯列接触癖)との関係
「顎関節症は噛み合わせが悪いから起こる」と思われる方は少なくありません。
しかし現在では、顎関節症は一つの原因だけで起こる病気ではなく、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。
例えば、
食いしばり
歯ぎしり
TCH(歯列接触癖)
ストレス
睡眠不足
姿勢
生活習慣
外傷
関節の変化
などが関係することがあります。
そのため、「痛い場所」だけを見るのではなく、「なぜその症状が起きたのか」を総合的に評価することが大切です。
最も多い原因は「食いしばり」と「歯ぎしり」
近年、顎関節症の大きな要因として考えられているのが食いしばりと歯ぎしりです。
食いしばりとは?
食いしばりとは、上下の歯を強く噛みしめてしまう癖のことです。
例えば、
パソコン作業中
運転中
スポーツ中
集中しているとき
重い荷物を持つとき
など、無意識に行っている方が多くいらっしゃいます。
強い力が長時間かかることで、顎の筋肉や関節に大きな負担がかかります。
歯ぎしりとは?
歯ぎしりは、主に睡眠中に起こる無意識の運動です。
ギリギリと歯を擦り合わせる
強く噛みしめる
歯をカチカチ鳴らす
など、いくつかのタイプがあります。
睡眠中は自分で気付くことが難しく、ご家族に指摘されて初めて分かるケースも少なくありません。
また、
朝起きると顎が疲れている
エラが張ってきた
歯がすり減っている
といった症状から歯ぎしりが疑われることもあります。
最近注目されている「TCH(歯列接触癖)」とは?
近年、顎関節症の原因として注目されているのが**TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)**です。
聞き慣れない言葉ですが、多くの方が無意識のうちに行っている可能性があります。
本来、上下の歯は接触していません
実は、リラックスしているときは上下の歯は触れていないのが正常な状態です。
唇は閉じていても、上下の歯の間には2〜3mmほどの隙間があります。
ところが、
パソコン作業
スマートフォンの操作
読書
家事
運転
勉強
などに集中すると、知らないうちに上下の歯を軽く接触させ続けていることがあります。
これがTCHです。
「軽く触れているだけだから問題ない」と思われるかもしれませんが、顎の筋肉はその間ずっと緊張した状態になります。
わずかな力でも、何時間も続けば筋肉や関節への負担は大きくなります。例えば500mlペットボトルも2時間持ち上げていれば腕はかなり疲労するのと同じイメージです。
そのため、TCHは顎関節症の発症や症状の悪化に関係する可能性があると考えられています。
TCHを改善するために
TCHは、まず「自分にその癖がある」と気付くことが第一歩です。
日中、「今、歯が触れていないかな?」と意識してみましょう。
歯が接触していたら、
軽く口を閉じる
舌を上あごにつける
上下の歯を離す
ことを習慣にすると、顎への負担を減らせる場合があります。
ストレスも顎関節症に関係します
ストレスそのものが顎関節症の原因というわけではありません。
しかし、ストレスが強いと、
食いしばり
歯ぎしり
筋肉の緊張
が起こりやすくなることが知られています。
その結果、顎関節や筋肉への負担が増え、症状が現れたり悪化したりすることがあります。
十分な睡眠や適度な運動、リラックスする時間を確保することも、顎への負担を減らすために大切です。
姿勢や生活習慣も影響します
日常生活の何気ない癖が、顎への負担につながることもあります。
例えば、
頬杖をつく
うつ伏せ寝
猫背
長時間のスマートフォン操作
長時間のデスクワーク
片側ばかりで噛む習慣
などです。
こうした生活習慣を見直すことで、症状が軽減する場合もあります。
ご自宅でできるセルフチェック
次の項目を確認してみましょう。
□ 指が縦に3本入りますか?
口を無理なく開けて、縦に指3本程度入るか確認してみましょう。
入りにくい場合は、開口障害がある可能性があります。
□ 顎を開けると真っ直ぐ動きますか?
鏡を見ながら口を開けてみましょう。
途中で左右どちらかへ曲がる場合は、関節や筋肉の動きに偏りがある可能性があります。
□ 顎から音が鳴りますか?
「カクッ」「コキッ」という音だけなのか、
それとも痛みや口の開けにくさもあるのか確認してみましょう。
音だけの場合は経過観察となることもありますが、痛みや開口障害を伴う場合は歯科医院での診断をおすすめします。
□ 朝起きたときに顎が疲れていませんか?
朝の顎の疲れは、夜間の食いしばりや歯ぎしりのサインかもしれません。
□ 日中、上下の歯が触れていませんか?
気付いたときに歯が接触している場合は、TCHの可能性があります。
セルフチェックはあくまで目安です。
症状の原因を特定するには、歯科医院での診察が必要です。
顎関節症と頭痛・肩こり・耳の違和感の関係
「顎が痛いだけでなく、頭痛や肩こりもある」
という患者さんは少なくありません。
顎を動かす筋肉は、首や肩の筋肉ともつながりがあるため、顎周囲の筋肉が緊張すると、頭痛や肩こり、首の張りなどを感じることがあります。
また、顎関節は耳のすぐ前にあるため、
耳の前の痛み
耳が詰まったような感じ
耳の違和感
を訴える方もいます。
一方で、頭痛や耳の症状は、片頭痛や耳鼻科の病気など別の原因によって起こることもあります。
そのため、当院では顎関節症だけにとらわれず、必要に応じて他の疾患の可能性も考慮し、適切な医療機関をご案内しています。
親知らずが原因?顎関節症との違い
「親知らずが痛いのか、顎関節症なのか分からない」
というご相談も多くいただきます。
親知らずの周囲に炎症が起こると、
口が開きにくい
顎が痛い
飲み込みにくい
といった症状が現れることがあります。
これらは顎関節症と似ているため、ご自身で見分けることは難しい場合があります。
根津のみらい歯科では、口腔外科にも対応しており、親知らずの炎症なのか、顎関節症なのか、それとも別の病気なのかを総合的に診断します。
「顎が痛いから顎関節症」と決めつけるのではなく、原因を見極めることが、適切な治療への第一歩です。
顎の症状でお悩みの方へ
顎関節症は、食いしばりや歯ぎしり、TCH、生活習慣など、さまざまな要因が重なって起こる病気です。
原因は患者さんごとに異なるため、インターネットの情報だけで自己判断するのではなく、症状に応じた診断を受けることが大切です。
次回は、根津のみらい歯科で行っている顎関節症の診断・検査・治療について詳しくご紹介します。どのような検査で原因を見つけ、どのような考え方で治療方針を決めているのかを、歯科医師の視点から分かりやすく解説します。
根津のみらい歯科 院長 石井 秀太郎